SPORTS / 2020.05.21
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桜花賞からオークスへ!時を超えた繋がりとは

こんにちは。
馬事文化応援アイドル桜花のキセキ・一瀬恵菜です。
皆様、5月のG1は楽しんでおりますか?
いよいよ日本ダービー、オークスへの切符をかけた熱き戦いも落ち着いてきた頃、より一層ワクワクした気持ちになりますよね!
今回は牝馬クラシック「優駿牝馬」オークスを中心に書かせていただきます!
今年の桜花賞を振り返って

雨も降り、重馬場で行われた今年の桜花賞。
阪神競馬場の桜も見守る中、3歳牝馬たちにとっては過酷な1日となったかもしれません。
1000m58秒台で先頭集団が通過していく中、4コーナーでは3着スマイルカナと2着レシステンシアの二頭が引っ張るような形に。
後続とのリードもあり、そのまま押し切るかというところで、外に出した5枠9番デアリングタクトが、最速上がりの末脚を見せ、交わし切ってゴールイン!
唯一、一頭馬群を抜け出してきた彼女の脚色には、良馬場でもきっと強い競馬をしたであろうと思える桜の女王の誕生でした!
そして前で運んだ二頭も大健闘でしたね。先日のNHKマイルCでも初めて尽くしの状況の中、レシステンシアは2着を確保し、改めて能力の高さを見せてくれました。
ということで、過去の「桜花賞からオークスへ」の繋がりを見ていきたいと思います!
今回、まずは今年の桜花賞との接点を見つけるために「重馬場で行われた桜花賞」を振り返ります。
1990年桜花賞

なんと同じ重馬場で開催された桜花賞は1990年まで遡ります。
勝利したのは、河内洋騎手騎乗のアグネスフローラ。
レース映像を改めて見させていただく中で、私は鳥肌が立ちました。デアリングタクトVの桜花賞となんだか似ている点が多いのです。
道中の位置取りや、最後の直線で外に出して追い込んで来る点。3着以内にケリーバッグという芦毛のお馬さんが入線していることも、今年3着のスマイルカナ(芦毛)と被りました。
そして、なんといってもアグネスフローラの馬番が5枠9番で、桜花賞までにエルフィンSを勝利しています。
これはデアリングタクトと同じ馬番であり、ローテーションまで似た点がありました。
1990年オークスは?
さて、1990年のオークスは一体どんな結果だったのでしょうか!
馬場コンディションは良馬場。桜花賞馬アグネスフローラは8枠20番の大外枠、そして+16kgの馬体重ながら、1番人気の支持を集めます。
2番人気は武豊騎手騎乗のダイイチルビー。ハギノトップレディの娘であり血脈的にも注目を集めていた存在です。3番人気は桜花賞2着のケリーバッグ。
ゲートが開き、アグネスフローラも好スタート。ケリーバッグも前目に付けますが、トーワルビーが鼻に立ち1コーナーを通過。後続との差を広げていきます。そして向正面でアグネスフローラは徐々にポジションを上げていきます。
4コーナー突入時にケリーバッグが鼻に並びかけ、直線に入るとアグネスフローラが間から抜け出してきます!
200mを通過し、アグネスフローラが先頭に立って押し切るかというところで、5番人気エイシンサニーが内から迫ってきます。
100mを通過すると二頭のマッチレースに!!熱すぎる牝馬たちの叩き合いを制したのは、岸滋彦騎手騎乗のエイシンサニーでした。
レース展開を考えると、勝利を掴むためにポジションを上げていったアグネスフローラでしたが、その後ろにいたエイシンサニーに一本取られたというレース内容となりました。
1000m通過も58秒台とかなりハイペースなレース。勝利したエイシンサニーの成績を振り返ると、エルフィンSでは3着。そして報知杯4歳牝馬特別(現在のフィリーズレビュー)を勝利。
桜花賞では不利もある中で4着という本馬でしたが、メンバー内最速上がりを使い見事、樫の女王に輝きました。
2着に敗れたアグネスフローラですが、これがラストランとなり、産駒へと夢は引き継がれていきました。
97年に出産したアグネスフライトは母の悔しさも晴らすかのように日本ダービーを勝利。98年に出産したアグネスタキオンは4戦4勝でターフを去りましたが、幻の三冠馬と呼ばれるほど大変印象深い一頭です。
「重馬場の桜花賞」という接点だけで振り返りましたが、過去の名馬たちからは学べることが沢山ありますね。より競馬の魅力に気付かされます。
受け継がれる血脈
続いての接点は「血脈」です。
デアリングタクトの血統は父エピファネイア。母デアリングバード。この血脈には時の流れにより生まれたドラマがあります。
エピファネイアの母シーザリオ。
そしてデアリングバードの母デアリングハート。
この2頭の物語を振り返ってみましょう。
15年前の桜花賞が紡いだドラマ

シーザリオとデアリングハートは同じ世代の牝馬でした。
二頭が初めて対戦したのは2005年の桜花賞。
デアリングハートもエルフィンSを使っており6着から、フィリーズレビューで2着となり、桜花賞への出走権を掴んでいます。そしてシーザリオはフラワーCを勝利し桜花賞へ駒を進めました。
デアリングハートは5枠9番と、15年後に受け継がれた血を引くデアリングタクトが同じ馬番を背負うこととなります。とてもドラマチックですよね。
良馬場で行われた桜花賞は各馬綺麗なスタートを切り、モンローブロンドが先頭に立ち、デアリングハートは好位から。そして1番人気シーザリオは中団やや後ろのインコースを追走。
4コーナーをカーブし、デアリングハートもいい手応えで、残り200m地点あたりでは先頭に立ちます!
しかしピンクの帽子2番人気ラインクラフトが鋭く伸び、デアリングハートが交わされたところで外からシーザリオが最速上がりで2着まで追い上げてきました。
勝利したのはラインクラフトでしたが、この3頭が直線では抜けていました。
時を超えて桜花賞2着、3着馬の血を引くデアリングタクトが桜花賞を制したことは、なんとも熱い思いがこみ上げますね。
2005年はそれぞれ、オークス・NHKマイルCへと

その後、オークスには桜花賞上位3頭の中ではシーザリオのみが挑んでいます。
直線に入ったところではまだ中団後ろ。道が開けた残り300mのところで素晴らしい伸び脚で前を捉え、単勝1.5倍の支持に応えて1着。
それから彼女はアメリカンオークスへ駒を進め、快勝。その後は怪我により引退となりましたが、デアリングタクトの父エピファネイアは日本ダービーで躓く不利もありながら2着。そしてジャパンカップでは4馬身差の快勝をみせています。
東京2400mへの適正は血脈からも十分期待できますね!
そして桜花賞馬ラインクラフト、3着デアリングハートはNHKマイルCへ駒を進めます。
スタートして2頭は好位へつけますが、近くで追走する2頭の姿は今見ると大変熱くなります。
直線に入り、内に進路を取ったラインクラフトは早めに突き抜け、それをデアリングハートが追いかける形。ラインクラフトがそのまま押し切り、牝馬2頭ワンツーフィニッシュを決めています。
桜花賞で活躍していた2頭が舞台を変え、東京でも輝く姿は非常にカッコ良いものでした。

「重馬場」という共通点。そして「血脈」という揺るぎない証で振り返ってみましたが、時を超えて彼女たちはターフで更に輝こうとしています。
近年ではアーモンドアイが桜花賞、オークスと連勝。しかし「無敗」での桜花賞、オークス制覇は1957年のミスオンワードまで遡ることとなります。
名馬達が繋いできた長い歴史の中で、無事にデアリングタクトがオークス出走となれば、今年はそのチャレンジに期待することもできます。
2020年という区切りの年に、彼女は新たな記録を作ってくれるのか、今からとても楽しみですね。
また権利を獲得し、挑んでくるお馬さんたちにも期待がかかりますね!
無観客競馬の実施が続いておりますが、今後も競馬を愛して楽しんでいきましょう。
読んでいただきありがとうございました!