SPORTS / 2020.05.27
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【日本ダービー】選ばれし尊き枠が積み重ねたキセキ

こんにちは。
馬事文化応援アイドル、桜花のキセキ・一瀬恵菜です。
いよいよ競馬の祭典!
東京優駿「第87回 日本ダービー」が5月31日(日)に迫っています!
輝かしい歴史と共に、日本ダービーの素晴らしさ、知ってみると更にダービーが深くなる!
そんな内容を私なりの観点で書かせていただきました!
今年も好メンバーが揃いそうですね!楽しみです!
日本ダービーの特別感とは
毎年約7000頭が生産されている中で、日本ダービーへの切符をつかめるのは、わずか18頭しかいません。
ゲートの枠が最大で18頭分ということになります。
また、出走するためには(その年によって異なることもありますが)、トライアルレースで権利を得たり、重賞で勝利を収めているような成績ではないと厳しいのが現実です。
牡馬・牝馬ともに出走可能ですが、年齢は”3歳馬”に限られています。その他、少々複雑な出走条件もあります。
まさに一生に一度の大舞台であり、世代の頂点を決める一戦です。
特別の意識はいつから?
第1回「東京優駿大競争」(日本ダービー)は1932年。
施行されるまでの流れとしては「賞金の高いレースを作り、馬産業を盛り上げてほしい」という声から始まったものだそうです。
当時イギリスのダービーステークスはとても高賞金であり、それを模範としたレースを日本でも始めたものが日本ダービーでした。
1着賞金もこれまでの日本競馬の賞金と比較すると破格のもので、よりよい競走馬を生産し、育成していく基盤がこの瞬間に生まれたと言っても過言ではないと思いました。
つまり、日本ダービーの始まりが競馬に携わる全ての方々にとって新たに目指す目標となり、歴史と共に名誉に変わっていたのだと感じました。
10年前からの傾向

令和初のダービーとなった昨年は、単勝オッズ93.1倍のロジャーバローズがレースレコードの2:22.6をマークし勝利。
騎乗した浜中俊騎手は念願の日本ダービー初制覇となりました。
ちょうど10年前の2010年日本ダービーの勝利騎手から振り返ると、2013年キズナの武豊騎手、2015年ドゥラメンテのM.デムーロ騎手以外、皆さん日本ダービー初勝利という結果でした。
厩舎で見ていくと、この10年間では金子真人ホールディングスさんの所有馬と友道康夫厩舎さんの組み合わせで、2016年マカヒキ、2018年ワグネリアンが2度勝利を収めています。
今年は令和2年目。では平成2年は?

新元号となり今年で2年目。
それでは、平成を迎えて2年目の日本ダービーは一体どんなレースだったのでしょう。
1990年第57回日本ダービー。
もし可能ならば、この場にいてみたかった。
私自身そういう思いが溢れるダービーです。
レース後、場内に響き渡った「ナカノ」コール。
もうこの言葉で競馬ファンの皆様はピン!と名前が出てくると思います。
どんなレースも"人馬"の物語は素晴らしいものがありますが、1990年の日本ダービーを制したのはアイネスフウジンと中野栄治騎手のコンビでした。
皐月賞では1番人気に推されていたコンビ。スタート直後にスムーズにいけないところもあり、2番手を追走することとなります。
直線ではアイネスフウジンが先頭に立ちそのまま押し切れそうな手応えでしたが、最後に外から差してきたハクタイセイにクビ差で敗れてしまいます。
そして人馬はさらに400m延長の日本ダービーへ駒を進めます。
当日は3番人気。スタートして1コーナーまでにスッと楽に鼻を取り切るアイネスフウジン。息の入った走りで、向正面でさらに後続との差を広げていきます。
さらに鼻を切っているのにもかかわらず、このコンビは内ラチ沿いではなく、気持ちよさそうにやや外を回ってくるのです。皐月賞馬ハクタイセイが4コーナーで迫ってくるのですが、全く焦らないアイネスフウジンと中野騎手。
残り200mになって、1番人気メジロライアンが物凄い脚で追いかけてきます。しかし1馬身と4分の1のリードを保ってアイネスフウジンが逃げ切り!当時のダービーレコード勝利となりました。
2400mもの間、この人馬の視界に他馬は一度も現れなかったということです。
素晴らしい勝利と共に引き返してきた人馬へ、自然と巻き起こった「ナカノコール」。
「ナカノ!ナカノ!」と、ぎっしりと詰まった東京競馬場の観客席、スタンドから大歓声と賞賛の拍手が贈られました。

1989年9月のデビュー戦からずっとコンビを組み続けてきたアイネスフウジンと中野騎手。実った大舞台での勝利には、他馬を寄せ付けない気迫さえ感じました。
まだまだコンビでの走りは見たかったのですが、アイネスフウジンは脚部不安によりこのレースを最後に現役を引退。
また中野さん自身も、現役最後のG1勝利がこの日本ダービーとなりました。
アイネスフウジンに対する数々の熱く愛のあるお言葉から、中野さんの騎手人生とアイネスフウジンは強くリンクします。
この時代を私自身は生で見ることはできませんでしたが、歴史からも日本ダービーには騎手さんと騎乗馬の絆も深くあり、陣営さんの判断からも”信じる”ことへの挑戦を感じます。

現在新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、今年は無観客での日本ダービーの実施が予定されています。
中野さんとアイネスフウジンの日本ダービーのような素晴らしい歴史の1ページが、こうして現代まで繋いで下さっていることで、このような状況でも変わらずにずっと競馬を愛していたいと思える感情が生まれます。
毎年日本ダービーが行われると、一頭一頭に様々な物語が込められていると痛感します。
それは競走馬を生産し育成するところから始まっていて、ましてや過去に応援していたあのお馬さんから始まっているかもしれません。
大舞台への夢は、バトンを繋いで今年も受け継がれようとしています。
関係者の皆様への感謝も溢れる日々ですが、令和2年の日本ダービーも素晴らしいものでありますように。
読んでいただきありがとうございました!
良きダービーを!